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最近よく、職業・殺し屋。のメンバー達の憩いの場 いや集会場所となっている志賀邸では、ご多分に漏れず鍋の会が催されていた。 上等な肉、上等な野菜をふんだんに使った鍋料理が、くつくつと煮え、辺りにはよい香りが漂っている テーブルには、何種類かのオードブルやアルコールも準備され、冬の日にはうってつけの身も心も温まる宴会が始まろうとしていた ただ、いつもと違うのは、この場所に彼女がいないだけ 周りに広がる何故かアットホームな雰囲気の中、コタツを囲む彼らは誰からともなくため息が漏れる 「マンティスさん、一体どうしちゃったのかしらね」 ほぅと頬に手を当て首をかしげる死織に視線が集まる。 「ここ2ヶ月ほど、彼女お仕事し通しでしょ?それも一人で」 「私も、そろそろ悪い子にお仕置きしなくちゃと思うんだけどね、なかなか機会がなくって・・・」 「最近、マンティスさんったら、ヘルプも使わないでしょ?」 目の前の鍋をジッと見つめ、その先にある暗い愉びを思い出して口元だけが微笑む そんな様子に各々が再びため息を漏らす 「それにしても、本当にどうしのかしら…」 綾子の口から漏れた問いに皆の顔は、志賀に向いた 「え?僕ですか?何にも知らないですよ」 鍋をはふはふと食べながら一同の話に相槌を打っていた志賀は突然の事で若干驚く そんな志賀の様子を、チラリと気にしながら小夜子が口を開く 「彼女、下品だし、そそっかしいから何か勘違いでもしてるんじゃないんですか?」 自分の横にちょこんと座った全盲の少女に鍋を取分けた小鉢を握らせながら問いかける 「何かってなに?小夜子さん」 「私には分からないですけど、どうせまた志賀さんがらみのような気がしますけど」 その答えに一同は頷きながら、渦中の人物 志賀を見る 「ちょっ、ちょっと〜!僕だって、会社で聞いてみたけど特には何にも・・・」 慌ててジリジリと続くこの日照りのような状況の原因を否定するも、彼女が彼に固執しているのは周知の事実なわけで、かかるのは無言のプレッシャー 「分かりましたよ、ちゃんと聞いてみますよ。聞いてみればいいんでしょ」 いつもの、人を食ったような人畜無害の顔からのぞく深淵の様な遠い目 「僕だって、そろそろキレちゃいそうだし、皆さんだってそうでしょう?」 「お互い様ですけど闇の住人ってのは、本当に卑しいですねぇ」 その言葉に、一同は目を暗く煌かせて笑う 『もう、待てないんだ』 自分の思うように他人の命を弄ぶ感覚 社会の闇に紛れて血に濡れるその刹那 鮮やかで美しい肉色と臓物で満たされる そんな中でしか生と性を感じられない 厄介だが痺れるような酷く甘美な性質 こんな衝動を持て余して、狂ってしまうかもしれない いや、最初から狂っているのか 沸き上がる底の見えない殺人衝動、対するは定められた鉄の掟 破った途端、こちらが狩られる側 いっそ、そこまで堕落ちて皆殺しにしてやろうか ちらりと、湯気の向こうをのぞけば、そちら側からも表情のない暗い瞳 苦笑しつつも、再び小鉢を手に取る 「明日、もう一度、ちゃんと聞いてみますよ、こっちの状況も説明すればきっと分かってくれますよ。マンティスだって僕たちと同じ性質(たち)なんだし。彼女の事だから何か理由があるはずですよね。だから今日のところは食事を続けましょう」 やっと、戻る雰囲気に皆一様に胸をなでおろしながら、裏返せば一瞬触発の感情を押し殺しつつも、三大欲求の一つを満たすように、食料を嚥下する 窓はガタガタと震え、外はいつしか吹雪きはじめていた。 |